WordPressでここまでできる!「特注ケーキ予約システム」構築事例に学ぶ、BtoCビジネス業務効率化ガイド
目次
はじめに:その「電話予約」と「手書き台帳」、いつまで続けますか?
「プルルルル…、プルルルル…」
繁忙期の店内。目の前には接客を待つお客様の列。厨房ではパティシエがデコレーションに集中している。そんな時に鳴り響く電話のベル。 スタッフが慌てて受話器を取ると、そこから始まるのは「特注ケーキの予約」に関する長いやり取りです。
「サイズはいかがなさいますか? 5号でしょうか、6号でしょうか?」 「クリームは生クリームですか? チョコクリームですか?」 「プレートのメッセージはどうしましょう?」 「お受け取りはいつですか? あ、申し訳ございません。その日は水曜日で定休日でして…」
気がつけば10分以上が経過。電話を切った後、メモ用紙の内容を予約台帳に書き写し、さらに厨房への製造指示書に転記する。
これは、ある洋菓子店様で日常的に繰り返されていた光景です。あなたのお店や会社でも、似たような光景が見られませんか?
「ウチの業務は特殊だから、システム化なんて無理」 「電話で聞いたほうが確実だから」 「既存の予約システムを使おうとしたけど、機能が合わなかった」
そう諦めて、アナログな管理を続けているBtoCビジネスの経営者様へ。 実は、皆様が普段ブログやホームページで使っている**「WordPress(ワードプレス)」**を活用することで、その複雑で面倒な業務を劇的に効率化できる可能性があります。
本記事では、実際に弊社が支援した「特注ケーキ予約システム」の構築事例をモデルケースに、「パッケージシステムでは対応できない複雑な業務」を、WordPressのカスタマイズでいかに自動化・効率化したか、その全貌を徹底解説します。これはケーキ屋だけの話ではありません。あらゆるサービス業、オーダーメイド販売業に通じる「業務効率化」のヒントがここにあります。
第1章:限界を迎えていた「アナログ管理」の現場
今回ご紹介するクライアント様(人気洋菓子店)は、創業以来、地域の方々に愛されるお店でした。特に、誕生日や記念日を彩る「オーダーメイド(特注)ケーキ」が評判で、週末には多くの予約が入ります。しかし、人気が出れば出るほど、現場のオペレーションは限界を迎えていました。
導入前に抱えていた課題は、大きく分けて3つありました。
課題①:電話対応による「業務中断」と「機会損失」
特注ケーキの予約は、確認事項が膨大です。サイズ、スポンジの種類、クリームの種類、フルーツの有無、アレルギー対応、受取日時…。 これらを一つひとつ電話で確認していると、1件あたり平気で10分〜15分かかります。その間、スタッフ1人の手が完全に止まります。 店頭のお客様をお待たせしてしまうだけでなく、電話中にかかってきた別の電話(新規の予約かもしれない)を取りこぼすという、目に見えない機会損失も発生していました。
課題②:絶対に許されない「ヒューマンエラー」のリスク
「電話」と「手書き」には、どうしてもミスがつきまといます。 「15日と言ったはず」「いや、16日と聞きました」といった言った言わないのトラブル。 「チョコプレートのメッセージの漢字間違い」。 そして最悪なのが、「予約台帳への転記漏れ」による**「当日ケーキが用意されていない」**という事態です。記念日という大切な日を台無しにしてしまうミスは、お店の信用失墜に直結するため、スタッフは常に極度の緊張感の中で管理を行っていました。
課題③:閉店後の「集計・管理」という重労働
予約は受けて終わりではありません。 毎日閉店後に、手書きの予約台帳をめくりながら、「明日作るべきケーキ」を集計し、製造スタッフへの指示書を作成する必要があります。 「明日は5号のスポンジが3台、6号が2台…」「いちごの増量は何件…」 疲れた体でこの集計作業を行うことは、精神的にも肉体的にも大きな負担となっていました。
第2章:なぜ、既存のEC・予約システムではダメだったのか?
「そんなに大変なら、ネット予約システムを入れればいいじゃないか」 そう思われるかもしれません。もちろん、クライアント様も最初は市販のツールを検討されました。 Shopify、STORES、BASEなどのECカートシステムや、Airリザーブなどの汎用的な予約システムです。
しかし、結論から言えば、**「帯に短し襷に長し」**で、どれも採用には至りませんでした。なぜなら、特注ケーキの予約には、一般的な「通販」や「席予約」とは異なる、非常に特殊で複雑な要件があったからです。
要件①:オプションの組み合わせが「複雑すぎる」
一般的なECサイトは、「S/M/Lサイズ」「赤/青/白」といった単純なバリエーションには対応しています。しかし、特注ケーキは違います。 「サイズ」を選んだ後に、「クリーム」を選び、さらに「フルーツ増量の有無(有料)」を選び、「ローソクの本数」を入力し、「メッセージプレートの内容」を書き込む…。 このように階層が深く、かつ条件によって価格が変動する複雑なオプション設定に対応できるパッケージシステムは、ほとんど存在しませんでした。
要件②:厳密な「リードタイム(受取日時)」の制御
ここが最大のネックでした。 通販なら「注文後、準備でき次第発送」で済みますが、店舗受取のケーキは**「〇月〇日の〇時」**というピンポイントの指定が必須です。 しかも、製造キャパシティがあるため、以下のような複雑なルールをシステムで制御する必要がありました。
- 「今日注文して、明日受け取る」はNG(製造が間に合わないため、最低3営業日前までの予約が必要)
- 「定休日(水曜日)」は受取不可
- 「営業時間外(10時前や19時以降)」は受取不可
- 「クリスマス期間」は特注ケーキの予約を停止したい
既存のカートシステムでは、単に「配送日指定」はできても、ここまで細かい「製造リードタイムを考慮した受取日時制御」を自動で行うことは不可能でした。かといって、数千万円をかけて専用システムをフルスクラッチ開発(ゼロから開発)する予算もありません。
そこで私たちが提案したのが、**「WordPress × 独自カスタマイズ」**という第3の選択肢でした。
第3章:解決策:WordPress × WooCommerceによる「独自システム」構築
私たちは、世界で最も利用されているWordPressのECプラグイン**「WooCommerce(ウーコマース)」**をベースに採用しました。 WooCommerceは、基本的な「商品をカートに入れる」「決済する」「注文メールを送る」といった機能が無料で備わっています。
この強固な土台を活用しつつ、足りない部分(複雑なオプションやカレンダー制御)だけを**「独自にプログラミング(カスタマイズ)」**することで、フルスクラッチ開発よりも圧倒的に低コストで、かつパッケージシステムでは不可能な「かゆいところに手が届く」専用システムを構築しました。
ここからは、実際に実装した3つの主要機能と、それが業務をどう変えたかを解説します。
実装機能①:カレンダーによる「受取日・時間」の完全自動制御
最も重要な「予約日時の制御」です。 お客様が購入画面に進むと、カレンダーが表示されます。しかし、これはただのカレンダーではありません。店舗の営業ルールがすべてプログラミングされた**「賢いカレンダー」**です。
【システムが自動で行う制御ロジック】
- リードタイム計算: アクセスした「今日」の日付を取得し、そこから「3営業日後」までの日付を自動的にグレーアウト(選択不可)にします。「無理な注文」が物理的に押せない仕組みです。
- 定休日ブロック: 毎週水曜日や、あらかじめ設定した臨時休業日を自動的に選択不可にします。
- 時間枠制限: 日付を選択すると「受取時間」のプルダウンが表示されますが、ここにも「11:00〜19:00」の間のみ、30分刻みで表示されるよう制御されています。
これにより、お客様が誤って「定休日に予約してしまう」ことや「製造が間に合わない日程で注文してしまう」ことがシステム上で100%不可能になりました。店舗側が後から電話で「すみません、その日は…」と断る必要がなくなったのです。
実装機能②:直感的な「複雑オプション」選択フォーム
次に、電話で延々と確認していた注文内容のデジタル化です。 スマホ操作に慣れていないお客様でも直感的に選べるよう、UI(ユーザーインターフェース)にこだわりました。
- サイズ選択: 「5号(15cm/4〜6名様向け)」のように、サイズ感と目安人数を併記し、ラジオボタンで選択。
- クリーム・スポンジ: 画像付きで選択肢を表示。
- 追加トッピング: 「フルーツ増量 +300円」「マカロン追加 +200円」などのチェックボックスを設置。チェックを入れると、リアルタイムで合計金額が加算される仕様にしました。
- メッセージプレート: 必須入力のテキストボックスを設置。「おたんじょうびおめでとう 〇〇ちゃん」などの入力漏れを防ぎます。
これにより、お客様は自分のペースでじっくりと仕様を選べるようになり、店舗側は「聞き間違い・書き間違い」のリスクから解放されました。
実装機能③:バックヤード業務の自動化(台帳・メール)
予約が入った後の事務作業も、WordPressが自動で行います。
1. 自動返信メール(お客様用・店舗用)
注文確定と同時に、詳細な注文内容が記載されたメールが自動送信されます。お客様には「控え」として、店舗には「受注速報」として届きます。言った言わないのトラブルはこれでなくなります。
2. 予約リスト(台帳)の自動生成・出力
これが現場から最も喜ばれた機能です。 WordPressの管理画面に、独自の「予約台帳出力ボタン」を設置しました。 「〇月〇日受取分」を指定してボタンを押すと、その日に作るべきケーキのリストが一覧で表示・印刷されます。 「5号 生クリーム:3台」「6号 チョコ:1台」…といった集計作業は、もう人間がやる必要はありません。システムが1秒で完了させます。
第4章:導入後の成果 – 数字で見る業務効率化
この「特注ケーキ予約システム」を導入した結果、クライアント様の現場には劇的な変化が訪れました。
成果①:電話対応・予約業務が「80%」削減
導入後、特注ケーキの予約の約8割がWeb経由に移行しました。 これまで1日10件、合計100分以上かかっていた電話対応が、2件(20分)程度に激減。空いた時間は、接客の質向上や、新作ケーキの開発といった「付加価値の高い業務」に使われるようになりました。
成果②:ヒューマンエラーによる「予約ミスゼロ」
システム導入以来、「日にちの間違い」「注文内容の取り違え」といったミスは一件も発生していません。スタッフの方々からは「予約台帳の記入漏れに怯えることがなくなり、精神的に非常に楽になった」という声をいただいています。
成果③:Web経由の「新規顧客」が増加
予想外の効果として、売上自体も向上しました。 これまでは「営業時間内に電話しなければならない」というハードルがありましたが、24時間いつでもスマホから予約できるようになったことで、仕事終わりの深夜に予約を入れる若い世代や、通勤中に予約する層など、新規顧客の獲得に成功しました。
第5章:応用編:これは「ケーキ屋」だけの話ではありません
ここまで、ケーキ屋さんの事例をお話ししてきましたが、この**「WordPress × 独自カスタマイズ」による業務効率化のロジック**は、あらゆるBtoCビジネスに応用可能です。
「複雑な選択肢(オーダーメイド)」と「日時の約束(予約)」がセットになっている業務であれば、すべてこの仕組みで自動化できます。
応用例1:修理・メンテナンス受付
- 現状: 電話で「製品の型番」「故障の状況」「訪問希望日」を聞き取っている。
- システム化:
- 製品カテゴリや型番を選択式にする。
- 故障箇所の写真をアップロードしてもらう。
- 訪問可能な日時をカレンダーで空き状況と連動させて選択させる。
- → 事前情報の精度が上がり、訪問時の部品不足などのトラブルが減ります。
応用例2:カスタムオーダーメイド(アパレル・家具など)
- 現状: 来店して対面で見積もりをするか、メールで何度もやり取りしている。
- システム化:
- 生地、サイズ、ボタン、オプションなどをWeb上でシミュレーション選択。
- 概算見積もりをその場で自動表示。
- → 「とりあえず金額を知りたい」層の対応コストを削減し、本気度の高い顧客だけを接客できます。
応用例3:レンタル用品の予約管理
- 現状: 在庫状況をホワイトボードで管理し、電話予約を受けている。
- システム化:
- 商品ごとの在庫数をシステムに登録。
- 「貸出期間」を指定させ、その期間の在庫が空いている場合のみ予約可能にする。
- → ダブルブッキング(重複予約)を確実に防げます。
最後に:貴社の「面倒なあの業務」、WordPressで自動化しませんか?
「システム開発」と聞くと、数百万円の費用と長い期間がかかるイメージがあるかもしれません。 また、世の中にある便利なSaaS(月額制サービス)は、安価な反面、少し特殊な業務フローには対応してくれません。
その隙間を埋めるのが、**「WordPressを活用した独自カスタマイズ」**です。
貴社の業務フローには、まだ「人がやらなくてもいい仕事」が残っていませんか? 「ウチの業界はアナログだから」と諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。その「電話対応」や「手書き台帳」をなくすことが、貴社のビジネスを次のステージへと進める第一歩になります。
無料「業務効率化」相談会のご案内
弊社では現在、BtoC事業者様向けに無料のオンライン相談会を実施しております。 「今の業務フローをどうシステム化できるか?」 「WordPressでこんなことは実現できるか?」 貴社の具体的なお悩みや業務内容をヒアリングし、技術的な視点から最適な解決策(簡易要件定義)をご提案させていただきます。
システムに任せられることはシステムに任せ、人間は「人間にしかできない仕事(おもてなしや創造的な仕事)」に集中する。そんな未来を一緒に作りましょう。
この記事を書いた人
アダプター株式会社
代表取締役小副川 貴博
ウェブデザインの専門学校を卒業し新卒でウェブ制作会社へ入社。WEBディレクション・デザイン・コーディング・運営保守など幅広い業務を経験後2013年にフリーランスとして独立。2018年にアダプター株式会社として法人化し大手企業から個人事業主に至るまで300社を超えるウェブサイト制作を担当。
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