医療広告ガイドラインとE-E-A-Tを遵守し、『信頼』で選ばれるWeb集客術

はじめに：そのWebサイト、「信頼」を損ねていませんか？

「ホームページを作ったものの、問い合わせが増えない」 「競合のクリニックが検索上位にいて、患者様を取られている気がする」 「広告を出したいが、規制が厳しくて何を書いていいか分からない」

日々の業務に追われながら、このようなWeb集客の悩みを抱えている院長先生や、士業の先生方は非常に多いのではないでしょうか。

先生方のビジネスは、一般的な飲食店や小売店とは根本的に異なります。それは、扱っている商品が「サービス」であると同時に、顧客（患者様・依頼者様）の**「生命」「健康」「財産」「権利」といった、人生を左右する極めて重要な要素**であるという点です。

そのため、Webサイトに求められる基準も、他業種とは比較にならないほど高く、厳格です。 もし、知らず知らずのうちにガイドラインに違反した表現を掲載していたり、Googleが求める品質基準を満たしていなかったりすれば、検索順位が上がらないどころか、社会的信用を失うリスクさえあります。

本記事は、クリニック・士業という専門職（プロフェッショナル）の方々のために特化した、Web集客の完全ガイドです。 「医療広告ガイドライン」や「弁護士法」といった法規制を正しく理解し、Googleの最重要評価基準である「E-E-A-T」を味方につけ、規制の中で成果を最大化する「信頼」に基づいたWeb戦略を徹底解説します。

第1章：なぜ、クリニックや士業の集客はこれほど「難しい」のか？

まず、現状の整理から始めましょう。なぜ、先生方の分野でのWeb集客は、これほどまでに難易度が高いのでしょうか。そこには、他業種にはない「2つの大きな壁」が立ちはだかっています。

壁①：法律・規制の壁（厳格なルール）

最大の壁は、法規制です。 医療機関であれば**「医療広告ガイドライン」、弁護士であれば「弁護士業務広告規程」**など、それぞれの業界で誇大広告や不当な誘引を禁止する厳しいルールが定められています。

• 比較優良広告の禁止: 「日本一」「No.1」「最高」といった、他者と比較して優れていると誤認させる表現はNGです。
• 誇大広告の禁止: 「必ず治ります」「100%勝てます」といった、事実と異なる、あるいは保証できない結果を約束する表現はNGです。
• 体験談の規制（医療）: 医療機関のWebサイトにおいては、主観的な患者様の体験談（口コミ）を広告として掲載することが原則禁止されています（※条件付きで緩和されている部分もありますが、非常にデリケートです）。

一般的なビジネスであれば「地域No.1の安さ！」「驚きの効果！」と叫ぶことで集客できますが、先生方の分野ではそれが許されません。**「言いたいことが言えない」**というジレンマの中で、いかに自院・自所の魅力を伝えるかが問われます。

壁②：競合の壁（激戦区）

もう一つの壁は、圧倒的な競合環境です。 「地域名 ＋ 内科」「地域名 ＋ 離婚弁護士」といった、集客に直結するキーワードは、まさにレッドオーシャンです。

• ポータルサイトの強さ: 検索結果の上位は、「EPARK」「弁護士ドットコム」「ホットペッパービューティー（美容医療）」などの大手ポータルサイトが独占していることが多く、個別の医院や事務所がその上に表示されるのは至難の業です。
• 競合の多さ: 駅前を見渡せば、同じようなクリニックや事務所がいくつもあります。Web上でも同様に、隣のクリニックと比較され続けています。

この「規制」と「競合」という二重苦の中で成果を出すためには、小手先のテクニックではなく、「信頼」を軸にした盤石な戦略が必要不可欠です。

第2章：Googleが最重要視する「E-E-A-T」とは？

法規制を守りつつ、競合に勝つための鍵。それが、Googleの検索アルゴリズムの中核概念である**「E-E-A-T（イー・イー・エー・ティー）」**です。

YMYL領域における「E-E-A-T」の絶対性

Googleは、検索ユーザーを守るために**「YMYL（Your Money or Your Life）」**という概念を定めています。これは、「人々の将来の幸福、健康、経済的安定、安全に影響を与える可能性のあるページ」を指します。 医療、法律、税務は、まさにこのYMYLのど真ん中です。

Googleは、YMYL領域のWebサイトに対して、誤った情報が拡散しないよう、通常のサイトよりも遥かに厳しい評価基準を設けています。その基準が「E-E-A-T」です。

• E (Experience)：経験
  • そのコンテンツは、実体験に基づいているか？
• E (Expertise)：専門性
  • その分野の専門家が作成・監修しているか？
• A (Authoritativeness)：権威性
  • そのサイトや運営者は、業界や社会から認められているか？
• T (Trustworthiness)：信頼性
  • そのサイトの情報は正確で、運営者は信頼できるか？

つまり、「誰が発信しているか分からない情報」や「裏付けのない情報」は、YMYL領域では絶対に検索上位に表示されない仕組みになっているのです。 ここからは、このE-E-A-Tを高めるための具体的な4つの対策を解説します。

対策①【専門性】：院長・所長の情報を「正しく」明記する

E-E-A-Tの核となるのは、「誰が言っているか」です。 先生方ご自身のプロフィールページは、Webサイトの中で最も重要なページと言っても過言ではありません。ここを適当に済ませてはいけません。

プロフィールは「信頼の証拠」の羅列であるべき

「○○大学卒業」の一行だけで終わらせていませんか？ それではGoogleにも、患者様にも、先生の専門性は伝わりません。以下の項目を網羅し、徹底的に作り込んでください。

1. 氏名・顔写真: 清潔感のある、信頼できる表情の写真を掲載します。
2. 保有資格の正式名称: 「医師」「弁護士」だけでなく、「日本内科学会認定 総合内科専門医」「日本税理士会連合会登録」など、保有する資格を正式名称で、登録番号も含めて記載します。
3. 詳細な経歴: 学歴だけでなく、職歴（どの病院で、どんな症例を扱ってきたか）や、所属学会、役職などを年表形式で詳しく記載します。
4. 専門分野・得意領域: 「何でもできます」ではなく、「特に消化器内視鏡検査の実績が豊富です」「相続税の還付請求に特化しています」と、専門性を絞り込むことで評価が高まります。
5. 理念・メッセージ: なぜその仕事をしているのか、どのような想いで患者様・依頼者様に向き合っているのか。「人柄」が見える文章は、最終的な選定の決め手になります。

これらを明記することで、Googleは「このサイトは、実在する専門家によって運営されている」と認識し、評価（専門性スコア）を向上させます。

続きは本編で。