製造業・BtoB企業のための”技術”と”信頼”を伝えるWebサイト構築術
2025年12月3日
こんな課題解決にお役立てください。
- 自社の高い技術力や、製品の特殊性がWebサイトで全く伝わっていない
- 製品カタログ(PDF)を置いているだけで、何年も更新が止まっている
- サイトからの問い合わせは『価格だけ』。本当に欲しい"引き合い"が来ない
- 営業は足で稼ぐもの。Webサイトは名刺代わりにあれば良いと思考が停止している
目次
- 0. BtoBサイトの「よくある悩み」
- 1. なぜ「技術力」が伝わらないのか?
- 2. BtoBサイトに必要なのは「情報の翻訳」
- 3. 解決策①:「技術・強み」の言語化と図解
- 4. 解決策②:「導入事例」を戦略的に見せる
- 5. 解決策③:絶対的な「信頼性」の担保
- 6. 【事例】技術の「翻訳」で、引き合いが3倍になったBtoBサイト
- 7. 貴社の「技術」、Webで正しく伝えていますか?
はじめに:そのWebサイト、”新規の引き合い”を生んでいますか?
「ウチは営業が足で稼ぐスタイルだから、Webサイトなんて名刺代わりにあればいい」 「技術力には絶対の自信がある。分かる人には分かるはずだ」 「Webから来る問い合わせなんて、どうせ価格の叩き合いだろう」
もし、貴社の経営陣や営業責任者が今もそう考えているとしたら、それは非常に大きな「機会損失」を生んでいるかもしれません。
かつて、製造業やBtoBビジネスにおいて、新規顧客の開拓は「展示会」や「テレアポ」、あるいは「既存顧客からの紹介」が主流でした。しかし、時代は変わりました。 今の調達担当者や設計者は、課題が発生した瞬間にまず何をするでしょうか? 電話帳を開くでしょうか? いいえ、Googleで検索します。
彼らは検索し、上位に表示された数社のWebサイトを比較し、「ここなら解決してくれそうだ」と感じた企業にだけ問い合わせをします。 つまり、Webサイトで「選ばれなかった」企業は、土俵に上がることさえできず、見積もりの機会すら与えられないのです。
「技術力はあるのに、Webサイトが古くて伝わらない」 これは、日本の製造業が抱える最も深刻な課題の一つです。
本記事は、優れた技術を持ちながら、それをWeb上で表現しきれていない製造業・BtoB企業様に向けて、**「待ち」の営業スタイルから「攻め」のWeb活用へと転換するための「Webサイト構築術」**を徹底解説します。 スペックの羅列ではなく、技術を「価値」に翻訳し、優良な引き合いを呼び込むためのノウハウを、余すことなくお伝えします。
第1章:BtoBサイトの「よくある悩み」と失敗の原因
まず、多くの製造業が陥っているWebサイトの現状と、なぜ成果が出ないのか、その原因を直視しましょう。
典型的な「ダメなBtoBサイト」の特徴
貴社のサイトは、以下の特徴に当てはまっていませんか?
- PDFカタログの墓場になっている 製品情報のページを開くと、ただ製品名が並んでおり、詳細は「PDFダウンロード」のみ。検索エンジンはPDFの中身まで正確には読み取ってくれませんし、スマホで閲覧するユーザーにとってPDFを開くのはストレスです。
- 「更新情報」が数年前で止まっている 「お知らせ」の最新記事が3年前の「夏季休業のお知らせ」。これでは、訪問者は「この会社、本当に稼働しているのか?」「廃業したのではないか?」と不安になります。
- トップページが「工場と社長」だけ 工場の外観写真と、社長の挨拶文がメイン。肝心の「何ができる会社なのか(加工技術、対応素材、ロット数など)」が、トップページを一目見ただけでは分からない。
問い合わせが「価格」ばかりになる理由
「Webから問い合わせは来るが、『これいくら?』という相見積もりばかりで、成約率が低い」という悩みもよく聞きます。 これは、Webサイト上で**「他社との違い(付加価値)」**を伝えきれていないことが原因です。
情報が「製品スペック(サイズ、素材)」しか掲載されていない場合、顧客は「A社とB社は同じ製品を作れる。じゃあ安い方にしよう」と、価格だけで判断せざるをえません。 技術力や提案力といった「見えない価値」が伝わっていないから、価格競争に巻き込まれるのです。
第2章:なぜ「技術力」が伝わらないのか? 〜情報の翻訳〜
なぜ、世界に誇る技術力が、Web上では伝わらないのでしょうか。 最大の原因は、Webサイトが**「社内の常識」や「専門用語」**で構成されており、顧客視点が欠落している点にあります。
原因①:専門用語の羅列
技術者は、正確性を期すために専門用語を使いたがります。もちろん、同業他社や玄人にはそれで通じます。 しかし、新規の問い合わせをしてくるのは、必ずしもその分野の専門家とは限りません。 「調達部門の新人担当者」や「異業種から参入してきた企画担当者」かもしれません。彼らは、貴社の業界特有の型番や略語を理解できない可能性があります。
原因②:情報が「自分語り」になっている
「当社は〇〇加工が得意です」「最新の〇〇マシニングセンタを導入しました」 これは一見良いアピールに見えますが、主語がすべて「当社(We)」になっています。これを「プロダクトアウト(作り手視点)」の発想と呼びます。
顧客が知りたいのは、「貴社が何を持っているか」ではなく、**「それを使って、私の課題をどう解決してくれるか」**です。
必要なのは「情報の翻訳」
BtoBサイトに必要なのは、社内の技術者が持つ高度な専門知識を、顧客(発注者)が理解できる言葉に**「翻訳」**するプロセスです。
- 【翻訳前(技術視点)】 「当社は5軸加工機による同時制御加工と、サブミクロン台の公差管理が可能です」 ↓
- 【翻訳後(顧客視点)】 「複雑形状の部品を一体成型することで、組み立て工数を削減します。また、超高精度加工により、後工程での調整作業を不要にし、歩留まりを劇的に改善します」
このように、「技術(スペック)」を「顧客のメリット(ベネフィット)」に変換して伝えること。この視点の転換こそが、引き合いを生むサイトへの第一歩です。
第3章:解決策①:「技術・強み」の言語化と図解
では、具体的にどのようにサイトを構成していけば良いのでしょうか。 3つの解決策のうち、まずはコンテンツの中身、「技術の伝え方」について解説します。
「強み」を曖昧な言葉で逃げない
多くのサイトで「高品質・短納期・低コスト」というキャッチコピーを見かけます。 しかし、これは日本中のほぼ全ての製造業が謳っている言葉であり、差別化にはなりません。「どう高品質なのか?」「なぜ短納期が可能なのか?」を具体的に言語化する必要があります。
- NG: 「短納期対応いたします」
- OK: 「金型内製化により、設計変更があっても最短3日で試作修正に対応します」
- NG: 「高品質な製品をお届けします」
- OK: 「全数画像検査装置の導入により、流出不良ゼロを3年間継続中」
数字や具体的な根拠(設備、体制)をセットで提示することで初めて、その言葉は信用されます。
「図解」と「動画」の威力
文字だけで加工技術や仕組みを説明するのは限界があります。特にWebサイトでは、ユーザーは文章を熟読してくれません。 そこで有効なのが**「図解(インフォグラフィック)」と「動画」**です。
- 図解: 「他社の工法」と「自社の工法」を比較したイラストを掲載し、どこでコストダウンできるのかを視覚的に見せる。
- 動画: 切削加工の様子や、自動化ラインの動きを15秒程度の短い動画で見せる。「百聞は一見にしかず」で、設備の充実度や現場の整理整頓具合(5S)が一瞬で伝わります。
続きは本編で。
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